毎朝の散歩道。いつも会っていたはずのあの子の姿が見えない。リードを引いていない散歩仲間の姿を見るのは、正直なところ、自分まで胸が締め付けられる思いがしますよね。
犬を亡くした人に花を贈る。それは、ただの「お悔やみ」ではありません。一緒に季節を感じ、時に立ち話をして、名前を呼び合った「犬友(いぬとも)」としての、最後のご挨拶です。
家族でもなく、仕事仲間でもない。けれど、あの子の成長や老いを間近で見守ってきた特別な関係だからこそ、できる気遣いがあります。
散歩仲間という「ちょうどいい距離感」での贈り方
散歩仲間という関係性は、ぶっちゃけかなり独特です。プライベートなことは詳しく知らないけれど、愛犬の性格や好きな場所はよく知っている。そんな関係だからこそ、仰々しすぎる贈り物は相手に気を遣わせてしまいます。
一番のポイントは「相手の負担にならないこと」です。
お葬式に参列するようなフォーマルな形ではなく、「あの子に、お花を供えさせてね」というくらいの軽やかさが、今の相手には一番優しいかもしれません。
ちなみに、犬を亡くした直後は、飼い主さんも心身ともにボロボロなことが多いです。家の中を片付ける気力もなかったりするので、花瓶が必要な花束よりも、そのままポンと置ける「アレンジメント(カゴに入ったタイプ)」を選ぶのが、散歩仲間としてのさりげない優しさだと思います。
予算は2,000円から5,000円。お返しを気にさせない金額
犬を亡くした人に花を贈る際、一番迷うのが金額ですよね。
結論から言うと、個人で贈るなら2,000〜3,000円、数人の散歩仲間で出し合うなら合計5,000円くらいがベストです。
「少なすぎないかな?」と不安になるかもしれませんが、5,000円を超えてくると、相手は「何かお返しをしなきゃ」というプレッシャーを感じてしまいます。ペットのお悔やみにお返しは不要、というのが一般的ですが、律儀な人は気にしてしまうもの。
2,000円台でも、ガーベラやスプレーカーネーションをメインにすれば、十分に可愛らしくて温かい雰囲気になります。3,000円あれば、バラやトルコキキョウを混ぜた、少しボリューム感のあるアレンジが可能です。
具体的なボリューム感を知りたいときは、 計算ツール を使ってみてください。予算を入れると、どのくらいのお花が買えるのかイメージが湧くはず。
もし、他のワンちゃんも飼っているお家に贈るなら、植物のチョイスにも少し配慮が必要です。
他のペットがいる家に花を贈る|猫・犬に有害な花リスト をチェックして、万が一の誤食トラブルを防いであげてください。
お供え色に縛られない。あの子らしい色を選ぶ
人間のお悔やみだと「白」が基本ですが、ペットの場合は全く別。
「お供えっぽさ」よりも「その子らしさ」を優先して大丈夫です。
- いつも着ていたバンダナの色
- 元気に走り回っていたイメージの黄色(ひまわりやガーベラ)
- 優しかった性格を表す淡いピンク(スイートピーやカーネーション)
- 涼しげな目元に似合う青や紫(デルフィニウムやスターチス)
「あの子、この色が似合ってましたよね」という一言が添えられているだけで、飼い主さんの心はどれほど救われるか分かりません。
逆に、トゲのあるバラなどは避けるのが無難という意見もありますが、最近は「あの子が大好きだったから」と選ぶ人も増えています。そこまで神経質にならなくていいと思いますが、迷ったら、丸みのある優しい形の花を選ぶのが正解。
手渡す場所はどこがいい?外で会うか、家に行くか
散歩仲間への渡し方には、3つのパターンがあります。
- いつもの散歩道で渡す
相手がまだ散歩コースを歩いているなら、これが一番自然です。でも、お花を持って散歩を続けさせるのは酷なので、相手が帰宅するタイミングを狙うなどの配慮がいります。
- 玄関先まで届ける
「今から伺ってもいい?」と連絡し、玄関先で手渡す方法。家の中までお邪魔すると相手を疲れさせてしまうので、ドア越しにサッと渡すのがスマートです。
- 配送する
お互いの家を知っているなら、お花屋さんから直接送ってもらうのも手。悲しみの渦中にいるときは、誰とも話したくない瞬間もあるからです。
ペットのお悔やみ花はいつ贈る?|葬儀後・49日・月命日 でも触れていますが、亡くなってから1週間くらい経ち、少し静かになった頃に届くお花は、孤独を感じている飼い主さんの心に深く染み渡ります。
花屋でそのまま使えるオーダー術
花屋さんに着いたら、緊張せずにこう伝えてみてください。
「散歩仲間のワンちゃんが亡くなったので、お供えの花をお願いします。予算は3,000円くらいで、黄色のガーベラをメインに、そのまま飾れるアレンジメントにしてください。あの子が元気だった頃のイメージで、明るく優しい感じにまとめてもらえますか?」
これだけでOK。店員さんはプロなので、「明るめのお供え」というリクエストには慣れています。
もしあの子の名前を知っているなら、札に「〇〇ちゃんへ」と書いてもらうのも素敵ですね。
「供」という漢字を使うと少し硬いので、ひらがなで「お供え」とするか、何も書かずにメッセージカードだけ添えるのが、散歩仲間らしい軽やかさです。
言葉は短くていい。「忘れないよ」を伝えるコツ
お花に添えるメッセージ、何を書けばいいか悩みますよね。
長々と書く必要はありません。むしろ、短い方が相手の心にスッと入ります。
「お悔やみ申し上げます」という言葉より、散歩仲間だからこそ言える言葉を選びましょう。
- 「〇〇ちゃん、いつも元気に挨拶してくれてありがとう。寂しくなるね」
- 「あの子の可愛い笑顔、ずっと忘れないよ。お疲れ様でした」
- 「毎日暑い日も寒い日も、一緒に歩けて楽しかったね」
これくらいが、重すぎず、温かい。
具体的な文例をもっと知りたい場合は、 ペットを亡くした人へのメッセージ文例|NGワードと寄り添う言葉 を参考にしてみてください。
迷ったら「あの子との思い出」を信じて
犬を亡くした人に花を贈る。それは、相手を励ますためだけではなく、「私も寂しいです」という気持ちを共有する行為でもあります。
飼い主さんにとって、自分の愛犬を自分以外の人も大切に思ってくれていた、覚えていてくれた、という事実は何よりの慰めになります。
たとえ選んだ花の色が少しイメージと違ったとしても、予算が控えめだったとしても、その優しさは必ず伝わります。散歩道で交わした「おはよう」や「また明日」の代わりとして、一束のお花を届けてみてください。
あの子もきっと、虹の橋のふもとで「あ、いつものおじちゃんだ(お姉さんだ)!」と、尻尾を振って喜んでくれるはずですよ。